カテゴリー別アーカイブ: 山行記録

奥武蔵 日和田岩

1月の例会に参加したMさんの体験岩トレを日和田岩で実施した。沢登りの装備の説明から、ザイルのたたみ方、シュリンゲの作り方と進み、中間エ イトでの登攀、プルージック登攀、懸垂下降とメニューをこなしていただいた。最初は岩に慣れていなかったMさんであったが、回数をこなす毎に慣れて、女岩 南面・男岩南面を夕暮れぎりぎりまで楽しんで登っていた。この日は特に冷え込んで、風も強く、寒さばかりが印象に残ったが、Mさんが入会されることにな り、収穫のある体験岩トレとなった。

コースタイム:

なし

地形図:
なし
記録:
丸山

黒山 聖人岩

014年1月22日

メンバー:丸山(L) 蔡

黒山 聖人岩

昨年の3月以来の聖人岩に行く。この岩場は冬でも暖かく、水曜日であれば人も少ないので良い場所だ。まずは「ティータイム」5.8でウォーミン グアップし、「おっとりマミちゃん」5.9を登る。しばらくぶりで忘れていたが、なんとか登り切る。続いて私は「貂が見ていた」5.11bにヌンチャクを セットする。蔡さんは「おっとりマミちゃん」を引き続き登る。昼食後、「貂が見ていた」に挑戦。核心部をクリアするも、クリップで動きが止まってしまいク リアのチャンスを逃した。蔡さんは粘り強くチャレンジし「おっとりマミちゃん」をクリアした。帰りに黒山鉱泉に寄ると第3水曜日で定休日であったが、幸い なことに旅館の方がわざわざ開けてくださり、入浴させてくれた。ここは風呂もきれいで良いところだ。聖人岩も宿題が残ってしまったので、また水曜日に来る ことにする。

picture貂が見ていた
コースタイム:

なし

地形図:
なし
記録:
丸山

丹沢 押出沢左俣遡行-穴の平沢下降

「冬型が緩み、3月下旬並」の予報に違わず、薄曇・無風の暖かい一日で、行動中は随所から雪の少ない富士山が見えた。 7時10分新松田駅に集合し、交通費節約で7時23分松田駅発の御殿場線で谷峨駅へ移動。駅前から西丹沢自然教室行きバスに乗車した迄はいつも通りだが、 誤って箒杉で下車してしまった。それでも目的の箒沢バス停へは数百mと至近で、其処にある清潔な公衆トイレ(ペーパー完備)に重宝した。さっそく道路際で 沢支度を済ませ、私有地の広場を横断させてもらい、中川川原へ降り立つ。少し上流を見やると、左岸から押出(おんだし)沢が合わさっている。適当な所を飛 び石で渡り、押出沢へ入渓した。

“この時期の、短い枝沢らしからぬ豊富な水量”に不安と興味を覚えながら、眼前に迫る3基の堰堤を巻き上がる。(最初の堰堤の右隅に10段弱の コンクリート階段が有り、そこから左岸の林へ入って3基をまとめて巻く。)堰堤上は短いゴーロですぐに緩く長いナメ滝が現れ、右岸からナメ(5×9m)に 20mを落とす滝の枝沢が入ると、100mも有ろうかという長のゴルジュが始まる。中には5m未満だが嫌らしいナメ滝が10個ほど連続し、どれもホールド が細かいので弱点探しの頭脳プレーを強いられた。この連瀑帯の核心は突入時に苦労した(3m+4m)×10m長のトイ状のナメ滝だろう。始めは濡れるのを 嫌らったので弱点を探せず、釜まで戻って右岸に巻きルートを求めた。確かに右岸には突入時から斜上するバンドがあるが、目の前のナメ滝半ばで途絶えてい て、巻き切れるかは疑問だ。ついに雨具を着た青木リーダーが流れの中にスタンスを求め、シャワーを喰らいながら微妙なフリクションでクリアー。後続はロー プをもらって、股間に飛沫を浴びつつも“大開脚のゴボウ”で上がった。もう一つ注意が必要なのがゴルジュ出口の釜付2mの斜滝で、水流右がルートなのだが “細かい・脆い”で弱点が見当たらない。青木さんはジックリ膝を入れて、パワーをフエルトにネジ込みながら巧みに上がったが、私は二歩目の左足がシックリ せず、そのままスライダーで冷水にドボン!再トライは諦めて、乾いた右面を巻き上がった渡部さんに続いてゴルジュから抜けた。。

容易に2連滝を登って左俣へ入り、小滝(3m)の上で左から(1:3)で50m滑滝(明るいルンゼ)を入れて急勾配のナメ(4×8m)を上がると二段(下4m+上8m)滝に出る。

pictureひょんぐりの滝(上段)

下段は問題ないが、上段はホールドスタンスともに細かく手こずる。青木リーダーがロープを引いて流れの左を上がる。4m上に中間支点のハーケン を打とうとするが、岩質が脆い上に良いリスが無い。この滝の上は広いアーチ状(井戸型)で、右奥に掛かるCS直滝(8m+2m)の上半分が我々にも見通せ る。さらに青木さんの位置からは、井戸底からの脱出高巻ルートは見当たらないという。となると、この8mを登っても意味が無く、懸垂下降支点が“ハーケン では危険極まりない”との意見が全員一致し、下段4mの上(8m下の我々の居る位置)から左の潅木帯へ上がることにした。この8mは俗に「ひょんぐりの 滝」というらしい。(落ちる水流のどこを“ひょんぐり”というのか解からない??が…)

先に潅木帯へ上がって良いとの指示があったが、高度感と地質の脆さから、無確保では取り付く気にすらなれない。そもそも、取り付きから最初の中 間支点までの2~3mの岩混じりの泥壁が信用できない。結局、8m滝を降りてきた青木リーダーがそのままロープを引いて潅木帯へと姿を消して行く。安定し た確保地点が見つからないらしく、ロープは目一杯に伸び、二本目を連結した。セカンドで上がって見ると二箇所に中間支点があり、急勾配で足元は脆く、私の リードならあと二箇所は中間支点を追加していた思う。ラストの渡部さんの為に、振られ止めに二箇所目の中間支点は残して上がった。地形図を見ると、我々は 尾根に取り付いた訳でもなく、高みを拾って高度を上げている。井戸の内部を見下ろすと高巻ルートは無く「ひょんぐりの滝」は登らずに実に正解だった。その 後も行く手に露岩が現れ、渡部さんがリードで突破を試みるも、始めの3~4歩がしょっぱくて青木さんと交代。ここでも露岩通過後が厳しく、ロープ二本の連 結で悪い潅木帯を抜けたのだった。ようやくCo750で明瞭な沢型に入り、安定した広がりで一息着く。ここまで昼食も摂らずに居て、全員パンで腹を満た す。(私は水も取らずに潅木帯へ入ったので、ラーメンが作れなかった。今後は注意する)

昼食後は悪いながらもロープを出すほどのことも無く、沢型の右岸にうっすら出始めた小尾根上をCo870の稜線へと上がり、小峰Co926から 降りてくる尾根のCo900ラインを水平に辿って痩せ尾根へ入り、急降下した後に左俣源頭のCo800のコルへ立つ。左俣源頭は蟻地獄で「クライムダウン は出来ないが、登りは何とか成りそうだ。」とは、青木さんと渡部さんの所見。少し下の岩面に鎖が取り付けてあったが、昔は沢登りルートとして栄えていたの だろう。それにしても「ひょんぐりの滝」以遠をどう登ってきたのだろうか。私が知る限りでは、井戸に掛かるCS直滝(8m+2m)以遠に困難なところは無 いらしいが。

コルでの休憩後、傍らの立ち木から連結ロープで30m懸垂し、「穴ノ平沢-左俣右沢」源頭のゴーロ帯へ降り立つ。ヤブ沢出合い迄は概ね伏流の ゴーロで、下山に適した沢である。只一箇所、ヤブ沢出合い直前のCo650で立派なゴルジュが展開する。両側は高く狭まり、連続した小滝の下流に取水堰跡 と崩壊した取水枡があり、その下に4m滝に続いて9m滝(穴ノ平沢F1)がある。ヤブ沢出合からこのゴルジュを覗くと、いきなりこの9m滝が威風を放つの だ。最後の4m滝+9m滝の直前の左岸に、5m程の大工用のアルミ梯子が高巻用に立て掛けられてある。梯子を据え付けて置くほど、人が頻繁に来るのか?  何の為に? 疑問の絶えない山行でもあった。最後の9m滝は懸垂で降りることにた。

pictureゴルジュ入り口の穴ノ平沢F1を懸垂する

まず、4m滝上の左岸の立ち木に連結したロープを掛け、9m滝もまとめて懸垂下降してしまおうと試みる。青木リーダーが先に降り、9m滝へロー プを垂らすが下まで届いているかが判らないという。とりあえず全員4m滝は降り、様子を見ると納得した。9m滝は直滝で落ち口先端迄出なければ、真下は判 らない。そこで、4m滝でシャワーを浴びている太い倒木に8mmロープの捨て縄を施し、連結ロープで懸垂した。倒木から9m滝落ち口まで幾分距離があるの で、降りてみるとロープ先端の余り(長さの余裕)は少なかった。この時の懸垂ロープの回収だが、どこかに大きな摩擦が働き、3人がかりでロープを引いた。 (青木リーダーに、ロープを引くと結び目のタンコブが上を向く連結法の臨時講義を受ける。引いた感じでは、結び目が岩に挟まって引けないというより、4m 滝の飛沫で濡れている捨て縄との摩擦なのか、それとも二本のロープ同士が複数交錯しそこに大きな摩擦が生じたのか、このどちらかだと思う。ロープを捨て縄 にセットした時点では、片方がきちんと引けることを9m滝の落ち口付近でテストして、OKが出ている。したがって、最後に懸垂する時は、二本が左右に離れ ているのを確認し、懸垂中に二本が撚れないように注意する必要がある。)9m滝の落ち口はゴルジュの出口でもある。4m滝を降りた時点でヤブ沢出合いの堰 堤が目前に見えていた。更に直ぐ下流にも堰堤があり、その下に「穴の平橋」が架かっている

最後の堰堤の右端から穴の平橋の袂へ上がる。無事に降りられて、何よりである。振り返れば小川谷からの帰りに眺めた“連続堰堤の見慣れた光景” が広がっていた。林道の傍らで沢支度を解き、玄倉バス停へ向かう。歩き出して直ぐに、道の無い斜面を林道へと降りてくるお若い女性と遭遇した。魂消て声を 掛けると、登山道から外れ、単独でバリエーションを楽しむようになったとの事。当会の名詞をお渡しして、歓談しながらバス停へ向かった。帰路は山北のポッ ポ屋で反省会をしている土井チーム(鈴木さん・堀尾さん)に合流すべく風呂には寄らず直行。渡部さんは翌日仕事のため、そのままバスで新松田駅へ帰る。

今回の山行は距離が短く、時間にも余裕もあり、“各場面でジックリ試行錯誤し回答を引き出す作業”を複数回も出来たことが、とても有意義だった とおもう。やはり上級の沢は得るものが大である。(出した回答を分解してみると、一つ一つは基本的な技術であった。点を集めた線で面を作り、立体を作る。 点の積み重ねが朝日でも生かせるように精進したい。)

コースタイム:

箒沢バス停(9:05)-押出沢出合(9:15)-Co535両門滝(10:00/10)-エンビ管が見える堰堤上 (10:57)-左俣出合(11:05)-Co750昼食(12:40/58)-Co926からの尾根出合(13:43)-コル(14:00/10)-穴 ノ平沢F1下(15:30)-穴の平橋・小川谷林道(15:36)

地形図:
中川
記録:
山崎